【開館時間】10:00~17:00(入館は16:30まで)
観覧料】 大人210円  小中生100円
20名様以上の団体料金 大人100円 小中生50円

浅川伯教・巧兄弟資料館 (アサカワノリタカ・タクミ キョウダイシリョウカン)
〒408-0002
山梨県北杜市高根町村山北割 3315
   (ホクトシ タカネチョウ ムラヤマキタワリ)
電話:0551ー42ー1447
FAX: 0551ー47ー4784

2011年7月12日火曜日

第2回「『巧の日記』を読む」を行いました

7月9日(土)、第2回「『巧の日記』を読む」を行いました。

8月の日記は今までの月と比べて、長いものになっています。
巧にとって、考えること、思うことが多い月であったと言えるでしょう。
8月の巧は、美しいものにも、自らの心持ちに対しても、
それまでよりも強く日記に感情を吐露しています。
長いので、今回の朗読は大正11年8月1日の日記から18日分までです。



一部を紹介します。
8月6日には、朝から蓮の花摘みに出かけ、
「蓮の花を例の蓮花染付の壷に挿したら美しかつた。部屋中に輝いた。
牧栄はお嬢さんのようだと評した。子供の実感は当つてゐる」
と著しています。
暑い夏の日に、白く膨らんだ蓮の花で涼をとる様子に、
巧のお気に入りである「蓮花文壷」の華やぐ姿が見えるようです。

また翌7日は、柳宗悦から来た原稿
「失われんとする一朝鮮建築の為に」を読んで、
「柳さんから光化門を弔うための原稿が来た。なかなかよく書けて居る。
これを読んだら誰でも朝鮮に対する同情、人類的の愛が怯えると思ふ」

と記しています。
朝鮮人に対して無理解な日本人に向けた、
巧の心情がよく表れている日です。

15日では、交流のあった若い軍人たちと雑談し、
うち一人が「今度戦争があったら金鵄勲章を得るか死ぬか
どつちかにする覚悟だ」
というのに対して、
「君が金鵄勲章を貰つて凱旋する時
僕は非戦論者の故を以て監獄に居るであろう」
と答え、
「これだけは僕の本音だ」と書いています。
植民地政策、軍のあり方に対して、巧の真情が伝わってきます。

そのほかにも、武者小路実篤の謳う「新しき村」についても、
巧は率直に意見を述べています。
「新しき村」についての巧の考えは、
19日以降もたくさん書き綴っていますので、
8月20日(土)の第3回講座はそのあたりもお話できるかと思います。
皆様のご参加をお待ち申し上げます。

今回も下條先生がお持ちくださった美しい夏椿や紫陽花、紫露草が、
会場を涼やかにしてくれました。
お暑い中、ご出席いただきました皆様、ありがとうございました。