【開館時間】10:00~17:00(入館は16:30まで)
観覧料】 大人210円  小中生100円
20名様以上の団体料金 大人100円 小中生50円

浅川伯教・巧兄弟資料館 (アサカワノリタカ・タクミ キョウダイシリョウカン)
〒408-0002
山梨県北杜市高根町村山北割 3315
   (ホクトシ タカネチョウ ムラヤマキタワリ)
電話:0551ー42ー1447
FAX: 0551ー47ー4784

2011年10月28日金曜日

第6回講座「浅川巧の心に託す日韓の未来」が行われました

10月25日、江宮隆之氏をお迎えして、
第6回講座「浅川巧の心に託す日韓の未来」が行われました。
この日の講座が、本年度最後の連続記念講座でした。
















今年、映画『白磁の人』は待望の撮影が行われ、
来年度の公開を目指して大きく前進した年となりました。
映画の原作である小説『白磁の人』を著した江宮氏。
小説『白磁の人』を著した契機を話してくださった時は、
落ち着いた語り口の中に、情熱が溢れて、
江宮氏の浅川巧に対する思いが伝わり、
話にぐいぐいと引き込まれてしまいました。
中でも、「浅川巧を日韓の不幸な時代の免罪符にするのではない、
してはいけない。
しかし、あの時代に、巧のような生き方をした人がいることを
知ることが大切なのだ」
という言葉は、江宮氏の一番伝えたいことのひとつであろうと感じましたし、
小説『白磁の人』の大きな柱になる考え方なのだと、再認識するものでした。
今回の講演の題である「浅川巧の心に託す日韓の未来」は、
この考え方が基盤になってはじめて進んでいくのだということも
実感しました。

また、「今だったら、もっと上手く書けるだろう。でも、あえて書き直さない。
(あの小説は)自分の子供のようなものだから、そのままにしている」
というお話もありました。
こちらは、江宮氏の小説『白磁の人』に対してのスタンスを知る
エピソードでした。
小説『白磁の人』が1995年度の読書感想文の選定図書になった話や、
現在も「全国高校生必読図書」に選定されている話なども紹介されました。
江宮氏が、たくさんの若者に読んでもらうために書いた『白磁の人』。
いまだに本当に多くの高校生に読み継がれており、
次世代の日韓の関係を築く上で、しっかりとした基盤を作っています。
















その後も、今年9月に韓国ソウルで開催された
「浅川巧学術セミナー」で講演をされた際のお話もあり、
充実した内容で、あっという間に一時間半が過ぎ、講演が終了しました。
もっとお話を聞きたいと思う、楽しく、有意義な講演でした。

朝はどしゃぶりの雨が降り、どうなることかと心配をしましたが、
徐々に雨脚が遠のき、無事に開催することができました。
足元の悪い中、たくさんの方が講座に参加してくださり、大盛況でした。
ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。
今回で連続記念講座は終了いたしましたが、もうひとつの記念講座である
「『巧の日記』を読む」講座は、11月19日(土)に最終回を迎えます。
こちらの講座は、巧の残した日記から、巧自身をじっくりと知ることが出来る内容です。
初めての方も楽しんでいただけますので、ぜひご参加ください。

第5回「『巧の日記』を読む」を行いました

10月8日に第5回「『巧の日記』を読む」を行いました。
今回は、大正11年10月の日記でした。
















10月の『巧の日記』は、忙しく過ごしている様子が伺える内容です。
柳宗悦や富本憲吉と一緒に出かけ、夜遅くまで
行動を共にしている姿が見えます。
柳と出歩いたこと、富本と夜遅くまで語り合ったことなど、
とにかく「愉快」だったようです。
独り身となった男性の身軽さや気安さ、
巧の生来の気質が人を呼び寄せるのか、
たくさんの友人に囲まれての、賑やかで楽しい生活。
その一方で、柳たちとの展覧会の仕事や江原道の窯跡調査など、
日々忙しく過ごしていたため、10月の半ば頃は
日記を書かない日が続いたりしています。
その理由として、日記を書くことは
「反省と祈祷の時間だから他人が居ると妙にその気になれない」
と記している巧。
「反省と祈祷」という言葉は、『巧の日記』の本質を表す的確な表現です。
一人静かに己を振り返りながら日記に向き合う。
巧が、日記を書く目的を自覚していることが分かります。

次回11月19日は、いよいよ本年度最後の「『巧の日記』を読む」です。
『巧の日記』は読みこむほど面白くなっていくので、
まだ講座にいらしたことがない方にも是非読んでいただきたいと思います。

――――――――――――
大変申し訳ありませんが日程変更のお知らせです。
講師の都合で、当初お知らせいたしました日程の11月12日(土)ではなく、
11月19日(土)13時から開講しますので、お間違えのないようにお願いいたします。

2011年10月4日火曜日

UTYの撮影が入りました


今日は朝早くからUTY(テレビ山梨)の撮影が入っています。






















浅川巧の生誕120年、没後80年を記念した本年は、
「浅川伯教・巧兄弟の心と眼 -朝鮮時代の美」と題し、
大阪市東洋陶磁美術館を皮切りに、千葉市美術館を経て、
山梨県立美術館、栃木県立美術館と4館を巡回する
特別企画展が行われています。
(もちろん、当館からも資料を出品しています)

この秋UTYでは、山梨県立美術館で開催される特別企画展
「浅川伯教・巧兄弟の心と眼 -朝鮮時代の美」
1119日-1225日)にあわせ、
浅川伯教・巧兄弟を紹介する2分間のショート番組を
10話にわけて放送します。
今回の番組制作にあたり、浅川伯教・巧兄弟資料館の
学芸員・澤谷が企画・構成をしました。
放送日は、1021日から1223日までの毎週金曜日です。

浅川兄弟について、多くの方々に知っていただく
機会となります。
ぜひご覧ください。

映画の正式名称が決定! 『道 ~白磁の人~』

9月10日にクランクアップした、
映画「白磁の人」(仮題)の名称が決定しました。

『道 ~白磁の人~』です。

先日の第5回講座で小澤龍一氏がサプライズ発表をされましたが、
10月に入って正式にリリースとなりました。

本作は、韓国を日本が統治していた歴史的に困難な時代を、
日韓が合同で映画化する新しい試みです。
また、日本映画で初めて、韓国映画振興委員会(KOFIC)から
助成される作品です(9月22日に決定しました)。
本年度の釜山国際映画祭で、10月8日に制作報告会見も開かれることになりました。

『道』という題に込められたメッセージが、皆さまに届きますように。
浅川巧が拡げた道が、これからも日韓の交流の中で延びていきますように。

作品は、来年初夏に、新宿バルト9他、全国ロードショーの予定です。
皆さま、ぜひ劇場でご覧ください。

映画『道 ~白磁の人~』公式HP
http://hakujinohito.com/

第5回講座「映画<白磁の人>にみる浅川巧」が行われました

9月24日、映画「白磁の人」製作委員会事務局長の小澤龍一氏を
お迎えして、第5回講座「映画<白磁の人>にみる浅川巧」を
開催しました。
















映画「白磁の人」(仮題)は、この7年間山あり谷ありの
紆余曲折を経てきました。
これまでの軌跡と、これからの展望をお話していただく講座でした。

講座では、小澤氏の郷土と歴史に対する思い、浅川兄弟の研究成果、
映画の苦労と喜び、多岐にわたってお話を伺う内容となりました。
熱い語り口から、小澤氏が映画製作にどれだけのエネルギーを
注いでいらしたのかを認識できるものでした。

映画「白磁の人」(仮題)の製作過程では、時代設定が大正期で、
時間的にはそれほど経過していないのですが、
逆に時代考証が難しかったことなども紹介されました。
また、多くの人に観てもらうため、前売りチケットの値段を
一般の前売り料金よりも下げる際のご苦労も相当であったとのことでした。

この日は、映画の題が「道 ~白磁の人~」に正式決定したという
サプライズの発表もありました。
「道」という名称には、巧が作った道を次世代につなげていきたい、
両国の歴史・人・国のつながりが続くようにという
願いが込められているそうです。

現在映画は編集作業に入っている段階で、
来年(2012年)の初夏には公開予定です。
映画を契機のひとつとして、皆さんとの道がつながり、
拡がっていきますように。
たくさんの方々がご覧になってくださることを願います。

次回10月22日の連続記念講座は、いよいよ本年度最後です。
映画の原作『白磁の人』を著した江宮隆之氏をお迎えして
「浅川巧に託すること」という題で開催します。
皆様ぜひご参加ください。

第4回「『巧の日記』を読む」を行いました

去る9月17日に、第4回「『巧の日記』を読む」を行いました。
今回は、大正11年9月1日の日記からでした。

林業試験場が発足して間もないせいか、
職場の雰囲気があまり良くない中でも、
巧の林業の研究は充実している様子が伺えます。
また、執筆活動、朝鮮の陶磁器への情熱もますます盛んな印象です。
9月も本業である林業試験場の仕事と、
個人的な朝鮮の焼き物の研究を上手に両立させ、
有意義な時間を過ごしている姿が見えます。
そのような中、8月の日記から続く、巧の問答は止まりません。
彼の心の中は、日常と信仰、人間の幸福について、
自分と考え方の違う者についてなど、
自問自答すべき色々な事柄で溢れています。
自分の考えを主観と客観に分けて、
それぞれの言い分を書くスタイルは、
巧の日記の特徴と言えるでしょう。
彼の心の声から、優等生的なだけではない、
答えを求めて悩み、考え続ける生身の巧の姿が浮かび上がってきます。
巧が人々を惹きつける理由は、そこにあるのかもしれません。

本年度の「『巧の日記』を読む」講座は、残りあと2回となりました。
次回の講座は、10月8日(土)です。大正11年10月の日記を読みます。
まだ『巧の日記』を読まれたことがない方も、ぜひご参加ください。