去る9月17日に、第4回「『巧の日記』を読む」を行いました。
今回は、大正11年9月1日の日記からでした。
林業試験場が発足して間もないせいか、
職場の雰囲気があまり良くない中でも、
巧の林業の研究は充実している様子が伺えます。
また、執筆活動、朝鮮の陶磁器への情熱もますます盛んな印象です。
9月も本業である林業試験場の仕事と、
個人的な朝鮮の焼き物の研究を上手に両立させ、
有意義な時間を過ごしている姿が見えます。
そのような中、8月の日記から続く、巧の問答は止まりません。
彼の心の中は、日常と信仰、人間の幸福について、
自分と考え方の違う者についてなど、
自問自答すべき色々な事柄で溢れています。
自分の考えを主観と客観に分けて、
それぞれの言い分を書くスタイルは、
巧の日記の特徴と言えるでしょう。
彼の心の声から、優等生的なだけではない、
答えを求めて悩み、考え続ける生身の巧の姿が浮かび上がってきます。
巧が人々を惹きつける理由は、そこにあるのかもしれません。
本年度の「『巧の日記』を読む」講座は、残りあと2回となりました。
次回の講座は、10月8日(土)です。大正11年10月の日記を読みます。
まだ『巧の日記』を読まれたことがない方も、ぜひご参加ください。