10月25日、江宮隆之氏をお迎えして、
第6回講座「浅川巧の心に託す日韓の未来」が行われました。
この日の講座が、本年度最後の連続記念講座でした。
今年、映画『白磁の人』は待望の撮影が行われ、
来年度の公開を目指して大きく前進した年となりました。
映画の原作である小説『白磁の人』を著した江宮氏。
小説『白磁の人』を著した契機を話してくださった時は、
落ち着いた語り口の中に、情熱が溢れて、
江宮氏の浅川巧に対する思いが伝わり、
話にぐいぐいと引き込まれてしまいました。
中でも、「浅川巧を日韓の不幸な時代の免罪符にするのではない、
してはいけない。
しかし、あの時代に、巧のような生き方をした人がいることを
知ることが大切なのだ」
という言葉は、江宮氏の一番伝えたいことのひとつであろうと感じましたし、
小説『白磁の人』の大きな柱になる考え方なのだと、再認識するものでした。
今回の講演の題である「浅川巧の心に託す日韓の未来」は、
この考え方が基盤になってはじめて進んでいくのだということも
実感しました。
また、「今だったら、もっと上手く書けるだろう。でも、あえて書き直さない。
(あの小説は)自分の子供のようなものだから、そのままにしている」
というお話もありました。
こちらは、江宮氏の小説『白磁の人』に対してのスタンスを知る
エピソードでした。
小説『白磁の人』が1995年度の読書感想文の選定図書になった話や、
現在も「全国高校生必読図書」に選定されている話なども紹介されました。
江宮氏が、たくさんの若者に読んでもらうために書いた『白磁の人』。
いまだに本当に多くの高校生に読み継がれており、
次世代の日韓の関係を築く上で、しっかりとした基盤を作っています。
その後も、今年9月に韓国ソウルで開催された
「浅川巧学術セミナー」で講演をされた際のお話もあり、
充実した内容で、あっという間に一時間半が過ぎ、講演が終了しました。
もっとお話を聞きたいと思う、楽しく、有意義な講演でした。
朝はどしゃぶりの雨が降り、どうなることかと心配をしましたが、
徐々に雨脚が遠のき、無事に開催することができました。
足元の悪い中、たくさんの方が講座に参加してくださり、大盛況でした。
ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。
今回で連続記念講座は終了いたしましたが、もうひとつの記念講座である
「『巧の日記』を読む」講座は、11月19日(土)に最終回を迎えます。
こちらの講座は、巧の残した日記から、巧自身をじっくりと知ることが出来る内容です。
初めての方も楽しんでいただけますので、ぜひご参加ください。